TaKaKuAtの日記

インドネシア語の学習記録です。

うんちがもたらす恐怖

 

今回深掘りしたトピックは、ユニセフインドネシア政府が現在協力して展開している

プロジェクト、その名も…#DihantuiTai についてです!

訳すと「うんちに脅かされる」でしょうか?

一見ふざけたネーミングのようにも見えますが、至って深刻な

ある問題解決のための取り組みなんです。

 

本題に入る前に…..正直、”Tai”をどう訳すべきか迷いました。

Feses”でしたら医学用語なので便・大便が妥当な気がしますし、

最も一般的に使われる”kotoran”は排泄物や汚物が相当しているのではないかと

思います。しかし、公的機関が比較的綺麗な表現ではない”tai”という単語を、

キャッチコピーとして意図的に選んだようなので、”うんち”を選んでみました。

皆さんでしたらどう訳されるでしょうか?



以下はユニセフの公式ホームページから引用した文章です。☟☟

Hampir 70 persen dari 20.000 sumber air minum rumah tangga yang diuji di Indonesia dalam sebuah studi baru tercemar limbah tinja dan turut menyebabkan penyebaran penyakit diare, yang merupakan penyebab utama kematian balita. Hal ini dinyatakan oleh UNICEF yang hari ini meluncurkan kampanye baru untuk sanitasi aman.

要約しますと、ある最近の研究によると、2万戸の家庭で調査された飲料水源の

約70%が下水に汚染されており、この汚染状態は幼児の主な死因である下痢などの

原因となりうるとのこと。それを受けユニセフは、2月7日にこのキャンペーンを

打ち出したということです。

https://www.unicef.org/indonesia/id/press-releases/indonesia-hampir-70-persen-sumber-air-minum-rumah-tangga-tercemar-limbah-tinja



こちらのサイトでは、ユニセフのより詳細な活動内容や、

私たちが実践できることなどが紹介されています。ぜひご参照ください。

https://cekidot.org/tentang-dihantui-tai



前置きが長くなりましたが、なぜインドネシアでは水質汚染がこれほどまで懸念される状態なのでしょう?なぜ人間の大便がここまで問題視されているのでしょうか?

 

以下のリンクの記事を参照したところ、

インドネシア国の下水道普及率は約1%にとどまっており、約6 0%の生活排水は

分散型排水処理施設であるセプティックタンク によって処理されているが、

セプティックタンクの排水処理性能は 水環境の保全には不十分な水準にあり、

また、生活雑排水はほ とんど処理されていないため、同国の水環境は悪化の一途を辿っている。”とあり、主な要因は汚水処理の体制がまだ十分に整備されていないことにあるようです。

https://www.env.go.jp/water/asia_business/pdf/H29_daie_jp.pdf

 

そのほかには、BABS(Buang Air  Besar Sembarangan)つまり野外での排泄行為も問題となっています。

2017年のユニセフの調査では、一部の地域ではトイレが普及しておらず、近年徐々に改善されてきたものの、やむを得ず川や道端で排泄する状況が見られたようです。その数はインドネシア国民の約9%ほどで、8万人近くにも及ぶといわれています。この数字はインドを超す世界第2位という不名誉な称号でした。

https://www.vice.com/id/article/zmp788/jutaan-orang-masih-berak-di-sungai-indonesia-urutan-dua-sedunia-bab-sembarangan



ここで「あれ、人間や動物の排泄物って作物の肥料になったりするんじゃないの?」と疑問に思った方もいるのではないでしょうか?

私もそう考えていました。

 

実は、人間の大便は約60%が水分で、残りは剥がれた腸の細胞、バクテリアなどの菌類、体内に蓄積した毒素などで構成されており、食物繊維などの吸収されなかった食べ物の残滓は約5%ほどしか含まれていません。そのほかにも、便は排泄後空気に触れるとバクテリアなどが活発化し腐敗し始めるため、人間にとって有害なものになるそうです。

 

江戸・明治頃高値で取引された人糞は、肥料として活用される前に発酵処理されるため、肥料として使えるそうですが、発酵しても病原菌は完全に死滅するわけではなく、生食する野菜には不向きであったため、昭和後期から徐々に衰退していきました。アメリGHQの指示だったといわれています)

 

やはりバクテリアや菌類が無法に増殖できる環境にある便は人間やほかの生命体とって

有益なものではないようです。特に便によって汚染された水を摂取した場合、コレラ赤痢チフスなどの深刻な病気を患う可能性が高くなります。

 

下痢は5歳以下の子どもの死因第2位で、52万人以上もの子どもが下痢によって亡くなっています。また、死亡まではいかなくとも、重症な下痢は栄養失調や脳機能低下を招きます。

子どもたちの健全な発育のためのためにも、安心して飲める水の確保は早急の課題であることが窺えます。

https://japan-who.or.jp/factsheets/factsheets_type/diarrhoeal-disease/



では、下水道設備の整備やセプティックタンクの設置・定期的な手入れ、水洗トイレの早期普及などのほかに、私のような一般人が日頃からできる対策とは何があるでしょうか?

 

まず挙げられるのは、

  • 用便後と食事の前、外出後は手を石鹸で洗う
  • 子どもを不衛生な場所で遊ばせない
  • 摂取する水の水質に注意を払う

という基本的なことだと思います。

 

小さなことですが、怠らず日ごろから実践すれば、下痢で苦しむ子どもはきっと減るはずです。

 

しかし、ミネラルウォーターを買えない家庭はどうすべきなんでしょうか?井戸を掘れば問題解決でしょうか?

実際には、井戸水も井戸周辺の環境が整っていなければ衛生的とは言えない状況が多数のようです。汚水処理の設備が十分でない以上、井戸水の品質は期待できないということです。理由として、排泄物が土壌に染み出したものが地下水に含まれている可能性があるからです。そのため、下水道設備の整備、セプティックタンク管理業者との連携、貧困家庭への飲料水の配布など、多岐にわたる衛生的な暮らしが確保できるような努力が必要であるといえます。

 

長くなってしまったため、今回の記事内に出てきたインドネシア語の重要単語は

後日まとめようと思います。

今回は調べることが多く、時間がかかりブログ更新も時間が経ってしまいましたが、

その分より質量のあることを学べた気がします。

 

今回もお読みいただきありがとうございました。

 

                             17 Februari 2022 Takakuat    

 

2/19追加:

今回の内容に関連する尼語の表現などについて。

  • 汚染された水:air yang terkontaminasi/tercemar 
  • 地下水:air tanah 
  • 病原体:patogen
  • 下痢&嘔吐:muntaber (muntah + berak)
  • 栄養失調・不良:malnutrisi
  • 下水道:gorong-gorong
  • マンホール:tutup gorong-gorong 
  • 菌が繁殖する:bakteri berkembang biak
  • 家庭ごみ:limbah domestik/sampah rumah tangga